歯周病の予防が「メタボの予防」に?その関係性とは
歯周病とメタボの関係とは?
歯周病とメタボリックシンドロームは、何の関係もないように感じられますが実は深い関係性があります。
歯周病にかかっている人(歯周ポケットが深い人)は、歯周病にかかっていない人に比べて、メタボリックシンドロームの指標である高血圧・肥満・脂質異常・高血糖の項目に異常がある割合が高いことが研究結果により分かりました。
歯周病とは?
歯周病は、磨き残しや食べかすなどが原因で発生するプラーク(歯垢)が歯石となり、歯ぐきや顎の骨に炎症を引き起こす慢性疾患のことをいいます。ほぼすべての成人に何らかの兆候が見られ、初期段階では自覚症状がないことが大きな特徴です。
歯周病の原因となるプラークや歯石は、身体に有害な物質を放出する細菌の塊です。
そのままにしておくと歯周病が進行するだけでなく、有害物質が歯ぐきから血流に乗って全身にさまざまな悪影響を及ぼしてしまうのです。
メタボリックシンドロームとは?
メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさることによって、脳卒中や心臓病になりやすい状態を指します。内臓肥満とは、内臓の周りに脂肪が過剰に蓄積した状態のことです。
そのため、メタボリックシンドロームは「内臓脂肪症候群」とも呼ばれ、単にお腹周りが大きいだけではメタボリックシンドロームにあてはまりません。
身体に脂肪が溜まりすぎるとサイトカイン(免疫系の細胞から分泌されるたんぱく質)が分泌され、動脈硬化を促進させてしまいます。
実はこのサイトカインと同じ物質は、歯周病でも放出されるのです。
歯周病やメタボリックシンドロームであると、脳卒中や心臓病など生命に関わる病気の発症確立が高くなるため、歯周病とメタボリックシンドロームは相互関係にあるといわれています。
予防のためにできることは?
では、歯周病の予防に努めると、どうして「メタボリックシンドロームの予防」につながるのでしょうか。
ここでは、歯科の観点からメタボリックシンドローム予防につながる理由と、その方法を紹介します。少しずつ毎日の生活に取り入れ、習慣化できるように頑張りましょう!
毎日の歯磨きを怠らない
歯周病予防の基本は、毎日の丁寧な歯磨きです。歯の表側だけでなく、裏側、境目、奥歯の噛み合わせの溝は、磨き残しが多くなるため、念入りに磨きます。
歯磨きはどうしても自己流になってしまうため、歯科医院で正しい磨き方の指導を受けるようにしましょう。
また、デンタルフロスや歯間ブラシなどの口腔ケアグッズをうまく活用することもおすすめです。
口内をできる限り清潔な状態に保つことで、歯周病の予防につながります。
しっかりとよく噛んで食べる
食事のたびにしっかりとよく噛んで食べることを意識すると、唾液の分泌が促されて歯に汚れが付きにくくなります。
唾液は口内の殺菌・消毒効果もあるため、むし歯や歯周病菌の繁殖を抑える効果も期待できます。
また、よく噛んで食べると脳にある満腹中枢が刺激されて、満腹感を得やすくなります。
食べ過ぎることを防げるため、メタボリックシンドロームの予防につながるでしょう。
よく「ひと口につき30回は噛みましょう」といいますが、これにはきちんとした意味があったのです。
生活習慣を見直す
偏った食事や運動不足などは、歯周病やメタボリックシンドロームを進行させてしまいます。
悪い生活習慣を続けていると免疫力が下がり、さまざまな疾患にもかかりやすくなってしまいます。
生活習慣の見直しは、具体的に次のようなポイントを意識してみましょう。
● 質の良い睡眠をとる
● 身体を動かす習慣をつける
● ストレスを溜めない
● タバコ・アルコールを控える
一度習慣化してしまったことを改善することは簡単ではありませんが、少しずつ取り入れることで健康的な身体に導くことができます。
まとめ
歯科医院では、歯周病の予防・治療だけでなく、生活習慣のアドバイスも行っています。
改善方法をうまく見つけ出せない方は、近くの歯科医院へ相談してみましょう!