歯磨きを怠って甘いジュースやお菓子を食べていると、むし歯になることはよく知られていますよね。丁寧な歯磨きはむし歯や歯周病を予防し、健康な口内を維持することにつながります。
実は、そんな歯磨きを怠ることで溜まってしまう汚れ（歯垢）には、気管支炎や肺炎などの発症を招いたり、重症化にかかわる肺炎球菌などの細菌が含まれているのです。
これらの細菌はプロテアーゼと呼ばれる酵素を排出し、インフルエンザウイルスが気道の粘膜から細胞に侵入しやすくする特性を持っています。
つまり、口内に汚れが溜まっているほど、インフルエンザウイルスが侵入しやすい環境であるということです。

適切なケアでインフルエンザ発症率が10分の1に

介護施設の高齢者を対象にした調査では、歯科衛生士による口腔ケアやクリーニングを定期的に受けていると、そうでない人に比べてインフルエンザの発症率が10分の1になったとの報告があります。
また、口の中をきれいにすることでインフルエンザを予防する取り組みは、医療機関や介護施設、学校などでも広まっています。
実際に、2009年から2010年のインフルエンザ流行時に、東京都の小学校で洗面台を増設して、歯磨き習慣を作る運動を行ったところ、インフルエンザによる学級閉鎖が半分にまで減少したという報告もされています。
このように、インフルエンザと歯磨きは関係ないように見えて、実は深く関係しているのです。

定期的に歯科医院で検診を受けよう！

歯科医院で定期的に歯科検診やクリーニングを受けると、インフルエンザ予防だけでなく、さまざまなメリットが得られます。口内の健康と、全身の健康を守れるよう、歯科医院の定期健診では、歯科衛生士が主となってさまざまな検査を行います。

・むし歯のチェック

むし歯は、歯の表面だけでなく歯と歯のすき間や歯の付け根などにもできてしまいます。自分では確認できない細かい部分までしっかりチェックし、小さなむし歯も見逃しません。また、むし歯は初期段階であれば進行を防げるので、定期的にチェックして適切な処置を受けておくと安心です。

・歯ぐきのチェック

歯の周りを覆っている歯ぐきは、汚れが溜まると顎の骨を溶かしてしまう歯周病にかかってしまいます。初期段階の歯周病は自覚症状が少なく「気付いたころにはすでに進行していた」なんてことも少なくありません。汚れの付着量や歯ぐきの状態をチェックし、歯周病の進行を防ぎましょう。

・ブラッシング指導

歯磨きはどうしても自己流になってしまい、正しく磨けていない方が少なくありません。歯ブラシが歯にきちと当たっていなければ、汚れは落ちてくれません。一人ひとりに合った歯ブラシの選定から、持ち方・磨き方まで丁寧に指導します。また、歯間ブラシやデンタルフロスなどの補助清掃器具の使い方も教わっておくと、セルフケアの質が向上します。

・プラーク・歯石の除去

磨き残しが原因で食べかすが溜まると、細菌の塊であるプラーク（歯垢）になります。プラークは放置していると、唾液に含まれる成分と結合して歯に強固に付着する歯石へと変化します。これらの汚れはむし歯や歯周病の原因となるため、定期的にプロの手によって取り除いてもらうようにしましょう。

・生活習慣の改善アドバイス

むし歯や歯周病といった口内トラブルや、インフルエンザのような感染症は、生活習慣が深く関係していることがあります。そのため、食生活や喫煙習慣の改善など、生活習慣のアドバイスを受けることもあるでしょう。

まとめ

インフルエンザ予防といえば、手洗い・うがいに加えてワクチン接種が頭に浮かぶ方が多いのではないでしょうか。これからは、丁寧な歯磨きも意識して行ってみましょう！

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