花粉症と口腔症状:意外な関係性と対策
春の訪れとともに多くの人々が花粉症に悩まされます。
鼻水、くしゃみ、目のかゆみなど、花粉症の症状は非常に多岐にわたりますが、実はこれらの症状が口腔内にも影響を及ぼすことがあるのです。
特に花粉症が引き起こす「上顎洞炎」に関連する口腔症状は、歯科医師としても注意を払うべき点です。
本コラムでは、花粉症と口腔症状の関係、特に上顎洞炎による上顎臼歯の痛みについて詳しく解説します。
1. 花粉症と口腔の関係
花粉症は、花粉が引き起こすアレルギー反応です。
主に春に飛散するスギやヒノキの花粉が原因となり、鼻や目に異常をきたしますが、これが口腔にまで波及することがあるのです。
花粉症により引き起こされる鼻づまりやくしゃみなどの症状は、しばしば口腔内の乾燥や、咽頭部の違和感をもたらします。
また、花粉症によるアレルギー反応は、口腔内の粘膜にも炎症を引き起こすことがあり、これがさらに不快な症状を引き起こす原因となります。
花粉症は、アレルギー性鼻炎の一種であり、スギやヒノキなどの花粉を吸い込むことで、鼻や目の粘膜に炎症が起こります。この炎症は、鼻や目の粘膜だけでなく、口腔内にも影響を及ぼすことがあります。
2. 花粉症が引き起こす口腔内のトラブル
花粉症は、鼻や目の粘膜だけでなく、口腔内にも様々なトラブルを引き起こす可能性があります。
口腔乾燥(ドライマウス)
花粉症の症状である鼻づまりにより、口呼吸になることで口腔内が乾燥しやすくなります。
また、花粉症の治療薬である抗ヒスタミン薬の副作用として、唾液の分泌量が減少することがあります。
唾液には、口腔内を自浄する作用や細菌の繁殖を抑える作用があるため、唾液の減少は口腔内の環境悪化につながります。
歯周病の悪化
口腔乾燥により、歯周病菌が繁殖しやすい環境になります。
また、花粉症による炎症が歯茎にも影響を与え、歯周病を悪化させる可能性があります。
歯周病は、放置すると歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼすため、注意が必要です。
むし歯のリスク増加
唾液には、口腔内のphを中性に保ち、むし歯菌の活動を抑制する作用があります。
口腔乾燥により唾液の分泌量が減少すると、むし歯菌が活動しやすくなり、むし歯のリスクが高まります。
歯痛(上顎洞炎との関連)
花粉症により、上顎洞(じょうがくどう)粘膜が炎症を起こすことがあります。
上顎洞は、上顎の奥歯の近くに位置しているため、炎症が起こると歯痛と間違えやすい症状が現れることがあります。
特に、上顎の臼歯(きゅうし)に痛みを感じる場合は、歯周病やむし歯だけでなく、上顎洞炎の可能性も考慮する必要があります。
上顎洞炎による歯痛は、通常の歯周病やむし歯による痛みとは異なり、以下のような特徴があります。
階段を降りる時などの振動で発症する
ズキズキとした鈍い痛み
噛むと痛みが強くなる
頭を下げると痛む
鼻づまりや鼻水、頬の痛みなどを伴う
これらの症状が現れた場合は、歯科医院だけでなく、耳鼻咽喉科を受診することも検討しましょう。
口腔アレルギー症候群(OAS)
花粉症の人は、特定の果物や野菜に含まれるタンパク質にアレルギー反応を起こすことがあります。
これを口腔アレルギー症候群(OAS)と呼びます。OASの症状としては、口の中や唇のかゆみ、腫れなどが挙げられます。
3. 花粉症が引き起こす上顎洞粘膜の炎症
花粉症が引き起こす代表的な病理的変化の一つは、「上顎洞炎」です。
上顎洞とは、鼻の下に位置する空間であり、鼻腔とつながっています。この部分の粘膜が花粉によるアレルギー反応で炎症を起こすと、さまざまな症状が現れます。特に花粉症に関連する上顎洞炎は、上顎にある臼歯に痛みを引き起こすことがあります。
上顎洞と上顎の臼歯は解剖学的に非常に近接しており、上顎洞の粘膜が炎症を起こすことで、隣接する臼歯の歯根にも痛みや不快感が生じることがあるのです。これは「伝達痛」と呼ばれる現象で、実際には上顎洞に炎症があるにもかかわらず、痛みが歯に感じられることがあります。
上顎洞は、鼻腔とつながっている空洞であり、副鼻腔の一つです。
副鼻腔は、鼻腔の周りにある骨の中にあり、上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞の4つがあります。副鼻腔は、鼻腔とつながっているため、鼻腔の炎症が副鼻腔に広がりやすく、花粉症による鼻腔の炎症が上顎洞に広がることで、上顎洞炎を引き起こすことがあります。
上顎洞炎は、上顎洞の粘膜に炎症が起こる病気であり、急性上顎洞炎と慢性上顎洞炎に分けられます。
急性上顎洞炎は、風邪やインフルエンザなどのウイルス感染や細菌感染によって引き起こされることが多く、慢性上顎洞炎は、急性上顎洞炎が治りきらずに慢性化したものや、アレルギー性鼻炎などが原因で引き起こされることがあります。
4. 上顎洞炎と上顎臼歯の痛み
上顎洞炎が引き起こす上顎臼歯の痛みは、時に「歯痛」として誤診されることもあります。特に花粉症が原因で上顎洞の粘膜が炎症を起こしている場合、その痛みは歯の神経が直接的に影響を受けるわけではなく、あくまでも伝達痛であるため、通常の歯科治療では改善が見られないことがあります。このため、花粉症による上顎洞炎を疑うことが重要です。
患者さんが感じる痛みは、上顎臼歯の奥歯付近に集中することが多く、歯科医師はその痛みが実際には上顎洞に由来するものである可能性を考慮する必要があります。花粉症に伴う上顎洞炎は、特に春先に多く見られるため、季節的な要因を考慮することが診断の鍵となります。
上顎洞炎の症状としては、鼻づまり、鼻水、頬の痛み、頭痛、発熱などが挙げられます。上顎洞炎による歯痛は、上顎の奥歯にズキズキとした鈍い痛みを感じることが多く、噛むと痛みが強くなることがあります。また、頭を下げると痛むこともあります。
上顎洞炎による歯痛は、歯周病やむし歯による痛みと間違えやすいですが、歯周病やむし歯による痛みは、歯茎の腫れや出血、歯の動揺などを伴うことが多く、上顎洞炎による歯痛は、これらの症状を伴わないことが多いです。
上顎洞炎による歯痛が疑われる場合は、歯科医院だけでなく、耳鼻咽喉科を受診し、適切な検査と治療を受けるようにしましょう。
5. 花粉症がもたらすその他の口腔症状
花粉症は、上顎洞炎による痛みだけでなく、他にもいくつかの口腔内症状を引き起こすことがあります。以下は代表的な症状です。
口腔内の乾燥
鼻づまりにより口呼吸が増え、これが口腔内を乾燥させます。乾燥した口腔内は、口臭や歯茎の炎症、さらには虫歯のリスクを高める原因となります。
咽頭部の違和感
花粉症によって喉の奥がかゆくなったり、痛みを感じたりすることがあります。
この症状は、しばしば口腔内にも影響を及ぼし、口腔内の痛みや不快感として感じられることがあります。
アレルギー反応による口腔内の炎症
花粉症に伴うアレルギー反応は、口腔内の粘膜にも炎症を引き起こすことがあります。
特に舌や口唇、歯茎にかゆみや腫れを感じることがあり、このような症状は患者にとって非常に不快です。
これらの症状は、花粉症の治療を行うことで改善されることが多いですが、症状が長引く場合は歯科医師や耳鼻咽喉科医と連携し、適切な治療を受けることが重要です。
6. 花粉症と歯科治療
花粉症による口腔症状が悪化し、上顎洞炎や口腔内の乾燥が続くと、歯科治療においても注意が必要です。
特に口腔乾燥が続くと、虫歯や歯周病、口臭のリスクが高まります。
花粉症が原因で口腔乾燥が発生した場合、適切な口腔ケアを指導することが求められます。
また、患者が痛みを訴える場合、その原因が歯の問題か花粉症によるものかを見極めることが大切です。
歯科治療においては、花粉症の症状に配慮しながら、症状の緩和を図るとともに、口腔ケアの指導や適切な治療法を提供することが求められます。
7. 花粉症時期の口腔ケアの重要性
花粉症時期は、口腔内の環境が悪化しやすく、様々なトラブルが起こりやすいため、適切な口腔ケアが重要です。
こまめな水分補給
口腔内の乾燥を防ぐために、こまめに水分補給を行いましょう。
丁寧な歯磨き
歯周病やむし歯予防のために、丁寧な歯磨きを心がけましょう。
加湿器の使用
加湿器を使用して、室内の湿度を適切に保ちましょう。
鼻呼吸の意識
鼻づまりがひどい場合は、耳鼻咽喉科を受診し、鼻呼吸を意識しましょう。
歯科医院での定期検診
定期的に歯科医院を受診し、口腔内の状態をチェックしてもらいましょう。
8. まとめ
花粉症は、鼻や目だけでなく、口腔にもさまざまな影響を及ぼします。特に上顎洞炎による上顎臼歯の痛みや口腔内の乾燥などは、花粉症患者にとって不快な症状となり得ます。歯科医師としては、これらの症状が花粉症に起因することを認識し、適切な治療を行うことが重要です。適切な口腔ケアと歯科医院での定期検診を通じて、花粉症時期でも健康な口腔環境を維持しましょう。
後藤歯科はみよし市に開業して50年以上となりました。地域の皆様に支えられ、近年では豊田市、東郷町、刈谷市、日進市にお住まいの方からもご通院いただいております。花粉症の時期は、口腔内の乾燥、歯周病の悪化、むし歯のリスク増加、上顎洞炎による歯痛など、様々な口腔トラブルが起こりやすくなります。後藤歯科では、これらのトラブルに対応するため、患者様一人ひとりの症状に合わせた丁寧な治療と予防ケアを行っております。花粉症による口腔内の不快感や痛みでお困りの際は、ぜひご相談ください。
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