子供の歯並びのチェックポイント

   

お子様の健やかな成長を見守る中で、「うちの子の歯並びは大丈夫かしら?」「いつから矯正を考えればいいの?」といった疑問や不安を抱える親御様は多いのではないでしょうか。
歯並びや噛み合わせは、単に見た目だけの問題ではなく、お子様の将来の健康と豊かな食生活に深く関わる重要なテーマです。
ここでは、お子様の歯並びをチェックする際のポイント、歯並びの乱れが引き起こす影響、そして適切な治療開始時期と方法について、詳しく解説します。

 

なぜ子供の歯並びをチェックする必要があるのか

歯並びや噛み合わせの乱れ(不正咬合)は、見た目のコンプレックスにつながるだけでなく、お口や全身の健康に様々な悪影響を及ぼします。

 

口腔内の健康リスク増大

歯並びが乱れていると、歯と歯の間や歯が重なっている部分など、歯ブラシの毛先が届きにくい「死角」が生まれ、磨き残しができやすくなります。この磨き残しが、むし歯や歯石の原因となる歯垢(プラーク) を溜め込む温床となってしまいます。
歯垢(プラーク) は、細菌が増殖した白くネバネバした汚れの塊であり、放置するとだいたい2日ほどで歯石となり、自力では落とせなくなります。歯石は歯の表面に強固に付着する汚れの塊で、その表面がデコボコしているため、さらに歯垢が溜まりやすくなるという悪循環を生みます。
ご自身の歯ブラシで除去できる歯垢の率は60〜70%ほどであり、残りの汚れが蓄積されていくため、歯並びの乱れは将来的な虫歯や歯周病 のリスクを高め、歯の喪失リスクにつながります。

 

全身の健康への影響

噛み合わせの乱れは、口腔内のバランスを崩し、全身のバランスにも影響を及ぼすことがあり、顎関節症や肩こり、頭痛といった症状を引き起こす要因となるケースもあります。
また、食べ物をよく噛む(咀嚼)という行為は、生涯にわたり豊かな食生活を送るための鍵となります。よく噛むことには以下の良い効果があります。

肥満を防止する(満腹中枢を刺激)。

脳の働きを活性化させる(脳への血流量が増え、記憶力をつかさどる海馬の働きが良くなる)。

唾液の分泌を促し、初期のむし歯の進行を妨げたり、口内の殺菌・消毒効果が期待できたりする。

胃腸の負担を軽減する。


歯並びが悪いと、うまく噛むことが難しくなり、これらの全身的なメリットを得られにくくなる恐れがあります。

 

成長段階別:矯正治療を始める最適な時期と目的

お子様の矯正治療は、開始時期によってその目的と方法が大きく異なります。

 

第一期治療:混合歯列期(6歳~12歳頃)の矯正

一般的に、矯正治療を始めるのに最適な時期は、6歳頃からの混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)が多いとされています。
この時期の矯正治療(第一期治療)の主な目的は、顎の骨の成長をコントロールすることです。


目的
顎の骨がまだ成長途中にあるため、顎の成長を促進したり抑制したりすることで、永久歯が生えるためのスペースを確保し、将来的な歯並びの大きな乱れを予防できます。また、指しゃぶりや口呼吸などの悪習を改善することも目的の一つです。

メリット
顎の成長を利用できるため、永久歯が生え揃ってから行う矯正治療(第二期治療)よりも比較的短期間で治療を終えられる 可能性があり、抜歯が必要となるケースも少なくなる というメリットがあります。

早期治療の必要性
下の歯が上の歯より前に出ている反対咬合(受け口)早期治療を行うこともあります。

 

第二期治療:永久歯列期(12歳~)の矯正

永久歯が生え揃ってから行う矯正治療(第二期治療)は、主に歯の位置を細かく調整することに重点が置かれます。
顎の骨の成長がほぼ完了しているため、歯を動かすことで歯並びを整え、より精密な噛み合わせの調整が可能となります。
治療期間は、一般的に1年半〜3年程度かかります。

 

歯並びの乱れを招く生活習慣と予防

歯並びの乱れは、遺伝的な要因だけでなく、日常の生活習慣(悪習)によっても影響を受け、悪化することがあります。

 

悪習の改善と口腔機能の維持

混合歯列期の矯正治療の重要な目的の一つは、指しゃぶりや口呼吸などの癖を改善することです。


口呼吸の改善
口呼吸を常にしていると、お口の中が乾燥し、虫歯、歯周病、口臭のリスクを高めます。
原因を把握し、改善を目指しましょう。

歯ぎしり、食いしばり
歯や顎に負担がかかるため、ナイトガードの装着などの対策が推奨されます。

 

食生活のチェックポイント

むし歯や歯周病は生活習慣病といわれており、日常の食生活が大きく影響します。


1. 規則正しい食事と間食
時間を決めずにいつまでも食べている(ダラダラ食い)と、虫歯菌が糖をエサに酸を生み出し、歯が溶かされやすい環境が長く続きます。
食事時間を決めて、お口の中に食べ物がある時間を短くするよう意識しましょう。

2. 糖分の摂取制限
虫歯菌は糖をエネルギーにして酸を生み出すため、甘いお菓子やジュースは控えめにしましょう。

3. 酸性食品への注意
炭酸飲料や柑橘類、酢などの酸性の飲食物は、歯の表面のエナメル質を溶かす性質があるため、過剰な摂取には注意が必要です。
摂取した際は、水などで口をゆすぐなどのケアを意識しましょう。

4. よく噛む習慣
柔らかいものばかりでなく、食物繊維のあるもの や噛み応えのあるお肉なども食べるようにしましょう。
噛むことは唾液の分泌を促し、口内を清潔に保つことにつながります。

 

子供の矯正治療の具体的な方法と特徴

お子様の矯正治療には、顎の成長を利用する時期に適した装置や、歯の位置を細かく調整する時期に適した装置など、様々な種類があります。

 

矯正装置の種類

床矯正
取り外し可能。
顎の成長を促進し、歯列全体を拡大する。
主に顎の成長が活発な時期の軽度から中等度の歯列不正に適用。
就寝時を含め、1日12時間以上の装着が推奨される。
20万円~40万円

プレオルソ
シリコン製の柔らかいマウスピース型装置。
主に乳歯列期から混合歯列期に使用され、舌の癖などを改善する効果が期待できる。
就寝時と起きている時に1時間程度の装着が必要。
6万円~10万円

ブラケット矯正
歯の表面にブラケットとワイヤーを装着する最も一般的な方法。
様々な歯列不正に対応可能で、より確実で大きな矯正効果が期待できる。
金属製の他に、セラミック製などの目立ちにくいブラケットもある。
メタル:28万円~70万円 / セラミック:34万円~85万円

矯正治療は、顎変形症など手術を伴う一部の症例を除き、基本的に健康保険は適用されません。
ただし、噛み合わせの改善などを目的とした治療であれば、年間10万円以上の医療費がかかる場合に医療費控除の対象となることがあります。

 

矯正治療中の徹底した口腔ケアのポイント

矯正装置を装着していると、食べカスが装置に残りやすく、歯ブラシの毛先が届きにくい死角ができるため、歯垢(プラーク)が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
数年にわたる治療期間中、適切なケアを行うことが非常に重要です。

 

毎日のセルフケアの徹底

1. 食後の歯磨き
食後に必ず歯磨きを行い、食べカスが残らないようにしましょう。

2. 鏡を見ながら磨く
装置を装着していると死角ができやすいため、鏡を見ながら歯ブラシの毛先がどの部分に当たっているかを確認しながら磨きましょう。

3. 補助清掃用具の活用
歯ブラシだけではすべての汚れを落としきれず、除去できる率は60〜70%ほどです。清掃率を上げるため、補助清掃用具の活用が推奨されます。

◦ タフトブラシ:ピンポイントで汚れを落とせるように小さな毛束が特徴のブラシを活用しましょう。
◦ 歯間ブラシ・デンタルフロス:歯と歯の間や歯が重なっている部分の歯垢(プラーク)を除去するために有効です。

歯間ブラシは歯と歯の間が大きく開いている場合に適用し、無理に押し込むと歯ぐきを傷つける恐れがあるため、隙間がない場合はデンタルフロスを活用します。デンタルフロスは細い糸状のもので、奥歯にはホルダータイプが便利です。

4. フッ素の活用
◦ フッ素配合の歯磨き粉を選びましょう。
フッ素(フッ化物)は、虫歯菌によって溶かされはじめた歯を修復(再石灰化促進)したり、虫歯菌が生みだす酸を抑制したり、歯質を強くして虫歯になりにくい歯(フルオロアパタイト)にする効果 が期待できます。
◦ フッ素洗口液も効果的です。液体なので、矯正装置と歯の僅かなすき間にまでフッ素を行き渡らせることが可能です。

 

矯正治療中の食事の注意点

取り外しができないブラケット矯正の場合、装置に食べ物が挟まりやすいため、装置に負担がかからない食べ物を中心とした食生活が必要です。

• キャラメルやガムのような粘着性の高い食べ物、せんべいやナッツのような硬い食べ物 は、装置を破損する恐れがあるため避けましょう。
• アメやチョコレートなどの糖分の多い食べ物は虫歯リスクを高めるため、摂取量に注意が必要です。

マウスピース矯正など取り外し可能な装置の場合は、食事中は装置を取り外し、食後は必ず歯磨きを行ってから再装着し、装着時間を守ることが不可欠です。

 

矯正を始める前に大切なこと

お子様の歯列矯正は、顎の成長を利用できる時期(混合歯列期)に始めることで、より効果的な治療が期待できます。
しかし、矯正治療を始めるには、現在の歯や歯茎が健康であることが大前提です。
虫歯や歯周病がある場合は、まずそちらの治療を優先する必要があり、汚れ(歯石など)を取って治療することが先となります。
また、矯正治療は期間も長くかかることが多いため、お子様の歯並びや顎の発達状況、そして生活習慣などを総合的に判断し、適切な時期を見極めることが重要です。

みよし市の後藤歯科は、一般歯科(むし歯・歯周病)の他にも、小児歯科 や矯正歯科、予防歯科 など、さまざまな症例に対応しております。
お子様の矯正治療に関しても、「この子は矯正が必要か」「もう始めるべきか」といった様々なご相談を日々承っております。無料相談を実施しておりますので、親御様の悩みをしっかりと伺い、現状をご理解いただいた上で、最適な治療をご提案させていただきます。
お子様の健やかな成長と、生涯にわたるお口の健康をサポートするために「子供の歯並びのチェックポイント」を参考にして頂き、お気軽にご相談ください。



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